1930年代になると、天皇の神格化と戦意高揚のために、
学校には「ご真影」と呼ばれる昭和天皇・皇后の写真が「下賜」され、
それらや教育勅語を保管するために、奉安殿や奉安庫が準備されました。
奉安殿は学校で最も神聖な場所とされ、登校時や下校時に子どもや教員は、
最敬礼することが義務づけられていました。
敗戦後の1946年には、奉安殿は急速に学校から撤去されますが、
一部が寺社などに移築されて残り、県内では11基が確認されています。
(少しずつ更新しています。最終更新は24年3月7日です)
梅戸井村尋常高等小学校(現:いなべ市立笠間小学校)の奉安殿は、近くの梅戸北神明社の神殿になっています。
この奉安殿は木造建築で、棟木の上に堅魚木を並べた神社様式です。1930年に「学窓会客員会員」の寄贈によって建てられ、1946年に学校から撤去されて、現在の場所に移されました。
常磐尋常高等小学校(現:四日市市立常磐小学校)にあった奉安殿で、1935年に建てられました。敗戦後の1946年に小学校から近くの誓元寺に移築され、納骨堂として使われてきました。
老朽化が進みましたが、ご住職の英断で戦争遺跡として保存され、2004年に改修後、2011年に山門や鐘楼とともに登録文化財になりました。
県内に奉安殿は11ヶ所で確認されていますが、登録文化財になっているのはこの奉安殿だけです。
『三重の戦争遺跡(増補改訂版)』(2006年 三重県歴史教育者協議会 つむぎ出版)
三重県の戦争遺跡について写真や地図を豊富に使って解説しました。「空襲年表」や「三重に墜落したアメリカ軍機一覧」など多くの資料も掲載しています。A4版で314ページ。持ち運ぶのに重いのが難点ですが、地域の戦争遺跡を知るガイドブックとして活用して頂ければと願っています。
すでに出版社ルートでの販売は終了し、残部を高村書店(三重県亀山市東町。電話0595-82-0414)で販売して頂いていましたが、それも24年2月9日で完売しました。県内のどこかから残部が出てきましたら、お知らせします。